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”体験のシェア” 看取りケア実践事例発表のすすめ

  • 近藤和子
  • 2016年9月11日
  • 読了時間: 4分

みんなのMITORI研究会は、

看取りケアの体験を、

ケア職自らが発信、

発表することをおすすめしています。

それも、定量的な情報や、

研究論文のように厳密に仕上がっていなくてもよくて、

あくまで「発表会」でよいと考えています。

これがビジネスや学問研究となると、

客観的な視点や科学的エビデンスが、

重視されてくると思います。

しかし、

看護や介護のケアの現場は、

センス、機転、感情労働の世界であって、

必ずしも評価基準や定量的評価だけが通用する世界ではないからです。

論理の世界を否定するわけではありませんが、

まずは実体験をケア職自身がありのまま言葉にするプロセスが、

いまは必要なのではないでしょうか。

■事例発表会のメリット

それに、

ケア職自身がその体験を言葉にすることは、

いくつものメリットがあります。

まず、

看取りケアは千差万別のケアであり、

ひとつとして同じケアはないのです。

何が正しいと決まっているというよりは、

多くのことがケースバイケース。

だからこそ

「ひとつ経験したらひとつ発表する」ことで、

そのかけがえのないノウハウが共有され、

「次」につなげられるというメリットがあります。

つぎに、

発表したケア職自身にとっても、

体験をふりかえり、咀嚼することが、

学びになり、グリーフケアになるというメリットがあります。

そして、

発表するということは

聴く人がいるということですが、発表会では

研究や論文とは違って、批評のために聴くのではなく、

受容、理解、共感のために聴くわけです。

これが、

発表者にとっての自己重要感につながり、

ケア職のモチベーションの高まりを生みます。

さらに、

看取られた患者様のご家族の方には、

(もちろんプライバシーやご要望への最大限の配慮は欠かせませんが)

看取りケアの事例として発表されることを

「社会のお役にたてた」と、

好意的に受け止められる方も多くいらっしゃいます。

よって、

無理に科学的手法にのっとっていなくてもいいから、

また、それほど綺麗に整っていなくてもいいから、

ケア職自身が日々体験している事例について立ち止まり、

思いを発表すること自体が大事だと思っています。

そこで、

みんなのMITORI研究会では、

ケア職の皆様に発表会の開催をおすすめしています。

そして賛同を得られた方の事例を

後押しをしていきたいと思います。

もちろん、

みんなのMITORI研究会で紹介したからと言って、

私がいい! と言ったからと言って、

まだなんの威力もありません。

でもあえて、

たったひとりでも行動してみること。

たったひとりからの賛同でも、

発表者を元気つけ、

継続へのより処にしていただけるかもしれません。

かつての私がそうであったように。

(1990年代、マザーリング活動にニュースレター発行に暗中模索していた時、高木慶子先生(現・上智大学グリーフケア研究所特任所長)が、「私はあなたの応援団長になりますからね。あなたを支持しますよ。」と言い切ってくださったことが大変うれしくて、継続への力になったことがあります。)

人って、そんなことも力になるんだな、

それでいいんだな、

と気がついたので、続けてみたいと思います。

■発表会事例のご紹介

早速、

2016年8月26日(金)

静岡県藤枝市の介護職員合同研修で出会った

長者の森様が、

デイサービスも、グループホームもショートステイも、ケアプランも総合的に取り組み、

しかも保育園という、

まさに命のはぐくみをトータルに経営しておられる地域包括ケアを体現しておられるからこその

“看取りという選択”に至るプロセスがよく伝わってきます。

今、高齢者施設と保育施設の共同経営による、

命の交流の大切さが謳われています。

まさにその良き実践例の一つに出会ったと思いました。

他の地域でも、赤ちゃんと高齢者の交流施設に早くから取り組まれている方々がいらっしゃることも、聞いています。

また良い事例と出会い次第、

皆様にご紹介しますね。


 
 
 

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