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執筆者の写真近藤和子

【2022年1月27日 埼玉県ふじみ野市の人質立てこもり事件に思う】




こんにちは。

近藤和子です。


つい先日起きた悲しい事件について思うところがあるので、

急いで書いています。


皆さんはどう思われますか?



理不尽な凶行


埼玉県ふじみ野市の住宅で銃を持った男(渡辺宏容疑者)が立てこもり、

訪問医師と医療チームの一人が撃たれ、亡くなられるという痛ましい事件が起こりました。



まずは、

犠牲になられた鈴木純一医師のご冥福を心よりお祈り申し上げます。



今回の事件について


渡辺宏容疑者が「母親の介護の対応に怒って」おり、

医師に対し

「在宅医療だから胃ろうができないのはおかしい」

といった内容のクレームをしていたとか、

「すでに死亡診断された後も、蘇生しろと迫った」

との報道がありました。



(ちなみに、胃ろう造設は、医師と医療チームが必要と認めれば在宅医療であっても可能です。また、死亡診断されたのちの蘇生術もありえません。)



地域医療に献身する医療関係者にたいする、

大変身勝手で残忍な凶行であり、断じて許されるものではありません。



強すぎるグリーフの弊害


絶対に肯定することはできない今回の事件ですが、

しかしあえてなにか別の意味を読み取れるとすれば、



92歳の実母をひとりで介護する66歳の息子の孤独の深さ、

人を亡くしたグリーフ(喪失の悲嘆感情)の強さではないでしょうか。



そうした心の闇を人間がかかえていること、

それが暴走しかねないという怖さを、

社会はもっと認識しなければなりません。



そしてリビング・ウイルと、

グリーフケアを世の中にもっと広め、

浸透させる必要があります。



どんなに高齢の親であっても執拗に延命にこだわり、

まるで人が「死なない」と思っておられるかのようなご家族はいらっしゃるものです。



もちろん、

たいせつな親の死を受け容れられない気持ちはわからなくはありません。



しかし行き過ぎれば今回の事件のように、

理不尽な怒りを医療関係者に向け、他人を(そして自分も)傷つけてしまうことがあると、今回の事件は示しています。



医療への不満や怒りの形で噴出し事件化してしまいましたが、

これは医療上のクレーム対応の問題ではなく、

根源はやはり家族のグリーフ(喪失の悲嘆感情)なのです。



死の受容、リビング・ウイルとグリーフケアの啓発を


悲しみ自体は自然なことです。

どこまでが自然な悲しみや悼みで、

どこからが行き過ぎた執着であるのかは、

簡単には決められません。


ただ、死はかならず訪れるものです。

だからこそ今、日本の社会にリビング・ウイルが必要だし、

グリーフケアが必要です。


悲しみを受け入れる勇気と、

その勇気が湧くように支援する力が求められていると思います。



死の受容というテーマについて、

大変わかりやすい仏教の説話があります。


「お釈迦様とキサーゴータミー(わが子を亡くした母)」として知られるお話です。

外部サイトになりますが、

以下のリンク先からお読みになれますので、

この機会にご紹介させていただきます。


「1から分かる親鸞聖人と浄土真宗」(外部サイト)




多くのリスクをかえりみず、

地域医療に日夜奔走する医師と看護師、

多くの医療関係者の仲間に敬意と応援の気持ちをこめて。




みんなのMITORI研究会代表

公益財団法人 日本尊厳死協会 理事

近藤和子



追伸


私の新しい著書、

「看とりのグリーフケア」の第一章を、

出版社が「試し読み」として無料公開してくださっています。


どうぞご覧ください。


引き続き応援よろしくお願いします。

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