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人生の最終段階をどこで、誰と、どのように過ごしたい?「希望を叶える介護(KAIGO)」がしたい

執筆者の写真: 近藤和子近藤和子


この度の九州北部の集中豪雨による河川損壊及び、

土砂崩れにより被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。

皆様の安全と被災地の1日も早い復旧を祈っております。





2025年が近づき、

そのとき団塊世代が75歳以上をむかえ、

いよいよ多死社会が現実になろうとしています。



わたしたちは高齢になり心身が弱ると、

だれかの力をかりて最終段階を過ごすことになります。




介護についても、

自ら知り、どのような介護が望ましいかを、

自分で考えて選択する必要があります。




今あらためて「介護」とはなにかをみなおして、

よりよい自己選択につなげる時期が来ていると思います。





■介護は変化してきています




そもそも、介護の共通認識としては、

①食事②排泄③入浴(清潔)の世話をすること。



これは三大介護と言われています。



また、

平成9年(1990年)介護保険制度の施行は、

介護の意味と価値に大変革をもたらしました。



この制度は介護職という新しい職種、

多種多様な介護の実践研究者を多数生み出す源泉にもなりました。

私もその方々と出会い、学ばせていただきました。


たとえば

理学療法士の三好春樹氏や、

日本ホスピスホールディングス株式会社代表取締役社長の高橋 正氏などは、

日本の介護に現場からの新風を注いだ変革者たちといっても過言ではない方々だと思います。




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参考:

①三好春樹氏(理学療法士)

「関係障害論」 雲母書房 / 1997年をはじめ生活リハビリ講座など著書多数

「医療は“治す”ために知識や技術を使う。

介護は、この人といっしょに暮すために、知識や技術を使うのだ」

「老いとは、近代的個人から解放されて、人間、さらに、生きものへ回帰すること。」

(三好語録より)

 

②日本ホスピスホールディングス株式会社代表取締役社長 高橋 正氏

在宅介護を”お家が病院””職業家族”というコンセプトのもとに、

「おうち」という自由とコミュニティの中の暮らしの場に、

病院のような安心感を届けたいと現在ホームホスピスを16施設 発展中。

https://www.jhospice.co.jp/ja/business.html

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さらに私は、

千歳敬心苑 施設長 の山口晃弘氏

(著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)

の介護の定義に共感し、お薦めしているひとりです。




山口氏の介護(KAIGO)の定義を、

すこしだけ紹介させてください。



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介護職は生活支援のプロフェッショナル。



①三大介護(食事・排泄・保清)に「介」入して「護」るのは、「生命」


②私たちが考える「生活」の定義は、

「活き活きと生きる」こと。


③活き活きと生きるために必要なのは、

やりたいこと、行きたい所、逢いたい人、

【その願いを叶える】 のが介護。


このとき「介」入して「護」るのは「尊厳」介護は「尊厳」を護るのが仕事、


④「KAIGO」の真ん中には「I(私・愛)」があります。

真ん中とは、一番大事なこと。

ご本人不在の介護は介護ではないし、愛のない介護は介護ではないと思います。

「I」を取ると「KAGO」になります。

本人不在、愛のない介護は、KAGO(かご)の中に閉じ込めておくようなものです。


(山口晃弘氏)

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確かに!




どんな最高級の素晴らしい施設でも、

「I」と「愛」がなければ、

単なる閉じ込められる籠になる。

納得です。





■介護される側も変わらなければならない





ところで私が気になっているのは、

介護を受ける側が、こうした生活支援のプロたちにたいして、

十分に自分の希望を伝えきれていないようにみえることです。





自分の希望を表現するコミニュケーション力が、

不足しているといってもいいかもしれません。




介護はかつてのような「家族の義務」ではなく、

いまや多職種による社会的サービス・生活支援になりつつあります。




家族だと察してくれる、

なにも言わなくても動いてくれる、

のような、古い認識がまだまだ残っているせいかもしれません。




ようするに、まだまだ受け身なのです。




一方で、

現在の制度やサービスとしての介護は、

選択であり、契約です。

すなわちはっきりとした意思表示が必要です。




そのため、

介護される側がどうしたいのか、

希望を言って欲しいのです。




黙して語らずが善。

言わなくてもわかるはず。

自分の要求を言い立てるなど恥かしいこと。

自分さえ我慢すれば。

家族に迷惑をかけたくない。

家族のコトを他人に晒すなんて。




そうした考え方が強いと、

せっかく「希望を叶えるKAIGO」がしたい生活支援者がいても、

その本領を発揮しづらいのです。




もっと希望を伝え、自分の意思で選択すれば、

さまざまなサービスを自己責任で選択していく

豊かな「KAIGO」が待っています。




介護される側がもっとオープンに、

自己開示して(これまでの生活歴、人生歴を話す)、

自分はどうしてもらいたいか? を語るという練習をする必要がありそうです。



患者・家族・ご利用者様と呼ばれる私たちが、

もう少し話上手になって自分から希望を伝えられるようになること。

医療・介護の支援者たちが、もう少し、聞き上手になって、

私たち高齢者の想いを引き出せるようになること。



本人の希望があってこそ、

「希望を叶えるKAIGO」は可能になり、

そして介護職のモチベーションアップになります。




介護の担い手にとっても、

希望を叶えることで利用者に感謝されることが、

自己肯定となり、救いになるのです。




家事や介護などのサポーターとしての仕事は、

時として出口のない、暗いトンネルに見放されたような、

単調な日々に陥ることがあります。




ときには自己嫌悪につながる危険も、

逆に相手への暴力におよぶことさえあります。



それでもこのピンチは、

チャンスに切り替えうるものです。

「希望を叶えるKAIGO」 は   

介護職、ケアラーにとっても大きなやりがいにつながる希望の道です。

今、実践している関係者は、それを体験的に知っています。



これは残念ながら、

三大介護(食事・排泄・保清)のような介護の共通認識ではありません。

したがって、介護保険点数の加算対象にはなっていません。



それでも

世間の風潮や、心ない批評批判に耐えながら、

静かに実践、体験を積みあげている生活支援のプロたちがいます。

そんな取り組みを見落とさないようにしたいものです。




介護する人される人との間に「I」「愛」がうまれるように

もっとお互いに気持ち良く、愛を伝える努力をしたいものですね!

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