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在宅、ときどき病院。

  • 執筆者の写真: 近藤和子
    近藤和子
  • 2020年1月8日
  • 読了時間: 3分



厚生労働省の終末期医療に関する調査によれば、

一般国民において、

終末期の療養場所に関する希望は、



「自宅で療養して、

必要になれば医療機関等を利用したい」



が半数を超えています。


在宅、ときどき病院、が本音ということでしょうか。



「終末期の療養場所をどこにするのか」は、

ほんとうに大切で、

当事者にとって切実な問題です。



具体的にイメージしていただくために、

私がこの数年継続的にかかわらせていただいている、

Sさんのケースを紹介します。


Sさんは奥さんを亡くされた72歳から独居生活をしています。

80歳以降はたびたびの足の骨折を経験し、

さらに脳梗塞にもなって入院・転院を繰り返します。



いよいよ車椅子が欠かせなくなってきた83歳のときに、

ご自宅での在宅療養を選択しました。



私は最期まで在宅で過ごすことも可能なケースだとみて、

片付けや環境整備、ケア体制構築をお手伝いしました。



Sさんも積極的にバリアフリーに室内改装し、

訪問医師と訪問看護による在宅診療・在宅ケアサービスを駆使するなど、

さまざまな知恵と工夫で上手な暮らしを実現していました。



ただ、だんだんと要介護度が高まっていきます。

昨年9月には車椅子での座位(しっかり背中を立てて座っていられる)が保てなくなり、

食事もベッドでとるようになってきました。



入浴も介助の段階から、

ベッド上の体拭きしかできなくなりました。



意思疎通はかなり明確にとれるSさんですので、

今後の方針について私とはもちろん、

疎遠になっていたご家族ともよく話し合いました。



ここで在宅を続ける方法もあるし、

希望次第では施設等に移ることもできる。



詳しくは省略しますが、

本当に当事者それぞれが、悩みながら話し合いを重ねました。

これが苦しいけれど、必要な通過点でした。



施設等といってもいろいろあるので、

よくリサーチも重ねたうえで最終的には、

とあるサービス付き高齢者住宅のワンルームマンションに入居することを、

本人が決意しました。



ベッド上での暮らししかできない今、

「広い自宅の維持管理費が無駄に思えてきた」

というセリフが印象的でした。



いかにも元金融ビジネスマンらしいSさんの選択です。



一般的には病状と介護度により、

適切な療養場所は変わります。



ただそれは、

こういう状態にはこの施設がいい、のような、

「あてはめ式」で考えられるものでは決してありません。



つまりどこで療養するのが正しいのかは、

一概には言えません。



ご家族の意向も、

本人の意思と状態も、それぞれの関係性も、

そして状況や環境や、ときには運みたいなものも含めて、

本当に千差万別、ケースバイケースとしかいえないところです。



Sさんも「絶対に自宅に居たい」とおっしゃっていた時期があったし、

自らの意思で病院から在宅療養、在宅療養からサービス付き高齢者マンションへ、

と経験してきたことで、

納得していまの生活に順応している面もあります。



最初からサービス付き高齢者マンションだったら、

もしかしたら心残りがでてきたかもしれません。



療養場所の選択は、

死生観とも深く結びついています。



終活や人生会議(ACP)にもたくさんの検討項目がありますが、



「どこで療養したいか?」



まずはそこから考えてみることも、

ライフマネジメントのコツかもしれません。




お知らせ



みんなのMITORI研究会が主宰する「看取りのドゥーラワークショップ」では、

最新の看取り事例と「ドゥーラ」の概念をご紹介した後、

看取りについて語り合います。



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情報収集の意味だけでなく、

それ自体が癒しや追想や共感といった、

ご自身へのフィードバックをもたらします。



ぜひ一度体験してみてください。



日程は下記となります。

ホームページからご予約のうえご参加ください。

2020年1月24日(金)、31日(金)、2月7日(金)、14日(金)、22日(土)、28日(金)、3月6日(金)、13日(金)、20日(金)、27日(金)



場所は新宿御苑前近く。

各回とも18:00開始 20:00終了です。



どうぞよろしくお願いします。



 
 
 

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