みなさま、
暑中お見舞い申し上げます。
先日は、
コロナ禍、無観客、猛暑の中のオリンピックも、
無事閉会式を迎えましたね。
日本人選手たちのメダルラッシュに励まされながら、
特に印象深かったのが、
男子マラソンの大迫傑選手。
最後の直線、
ラストスパートの綺麗さに、
「私の最終章もこうでありたいものだ」
と感銘を受けました。
■本人の遺志は家族にどう聞こえているのか
私も理事をつとめる日本尊厳死協会では、
まさしく人生の最終章(終末期)を悔いなく生きるための、
リビング・ウイル(生前の意思、事前指示書)を提唱しています。
そして私はちょうど今年の4月からこの尊厳死協会の理事として、
「終末期医療に関する意思表明支援」
という新しいプロジェクトを担当させていただいています。
このプロジェクトにはいろいろなパートがありますが、
中心となっているのは会員の声(ご遺族アンケート)をデータ化して分析することで、
これまで以上に会員のお気持ちを深くさぐろうという取り組みです。
特にこのアンケートのなかの自由記載欄、
終末期の体験について記載していただいた部分については、
過去3年間分、2千通以上にわたって読み込んでいきました。
そこには、
たとえば夫を看取る経験をした妻たちが、
「尊厳死を希望していた夫の意志を遂げさせてあげたい」との思いや、
さまざまな奮闘や感情のエピソードがあります。
「お別れは辛いけど、
生前遺しておいてくれたリビング・ウイルのおかげで、
夫の希望を果たせたことは幸福だった。」
といった、
体験者ならではの感覚やお気持ちは読むたびに共感しますし、
世の中にこうした感情の連鎖を起こせると思うと、
やりがいと手ごたえを強く感じます。
■ラストラン
私も、
2010年に夫を看取ったとき、
個人が遺志を明確に残す大切さを身をもって感じました。
リビング・ウイルは、
本人が自分らしい最期をむかえるための書面ですが、
遺された家族にとっても貴重な、心のケアのよりどころなのです。
そして具体的にどんな気持ちになるのかなどが、
ご遺族がアンケートを通じてその貴重な看取りの実体験を語り継いでくださることで、
クリアに伝わるようになると思います。
そうなればきっと、
それを読んだ別の誰かの意思決定支援につながっていくでしょう。
だからこの情報をまとめ、
社会に還元するしくみを整えたいと思います。
そうすれば、
リビング・ウイルはその方の「人生最期の社会貢献」になると思うからです。
オリンピックの舞台でラストランを終えた大迫選手も、
レース直後のインタビューでこう語っています。
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「次の世代が頑張れば、
この6番から絶対メダル争いに絡める。
マラソン王国としてのプライドを持って戦ってほしい。」
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はやくも後進の育成に取り組んでおられる大迫選手ならではの、
自らの経験を「次の世代」に託していく決意のあらわれでしょう。
競技人生は終えられても、
より大きな次元では陸上界にさらなる貢献を始められるに違いありません。
■家族の気持ちをいかした意思決定支援
私は尊厳死協会の理事として、
この「ご遺族アンケート」の情報を遺し、
伝えていくこと、
そして会員の皆様が託してくださったかけがえのない経験と言葉を、
これから看取りを経験していくすべての方のお役に立てるように大切に引き継ぎ、
より活用しやすいかたちに整理していく仕事に意義を感じています。
具体的には今後、
この尊厳死協会の財産ともいえるデータをいかして、
医療者のサーチシステムをつくることを計画しています。
ご家族の視点をとりいれることで、
医療と患者との適切なコミュニケーションを支えるしくみを、
またひとつ世の中に送り出せる気がしています。
8月は、
これらの作業もまさに「ラストスパート」です。
頑張ります!
またこのプロジェクトについてもお知らせさせていただきます。
引き続き応援よろしくお願いします。
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