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執筆者の写真近藤和子

死ぬ前にこれを叶えたい


本日も、

前回のブログでご紹介した、

コミュティナース 矢田明子さんの著書の話題から。




書籍




矢田さんは、

子どものころ、



「なりたくない職業ナンバーワン」



が「看護師」だったそうです。

(本書31ページより)



その理由は、

大人たちが作り上げてきた看護師のイメージである、


「安定した仕事」


「手に職をつける」


「人の役にたつ」


「これからの時代は女性の自立だ」



などが嫌だった、

とありました。




父親のがん闘病に接して、

27歳にして看護師をめざす動機になったという矢田さんですが、

彼女の、看護にたいする見方が変わった瞬間の描写がとてもすばらしいので、

ここに引用してシェアさせてください。



---


 父は通院する病院でお世話になっている看護師たちが大好きで「こんなふうに関わってくれてうれしい。信頼できるし、ありがたい」と言っていました。病気が進んでいき、理学療法士や栄養士といった関わるスタッフが減っていっても、看護師だけはずっと関わってくれていました。彼らには「できること」があるのです。

 しかも「こういう呼吸になったらこういうサインだよ」などと予測をたて、先が見えていました。薬剤によって安心させるのではなく、予測をたてることで安心させている。「不思議な職業だな」と感じました。

「私も看護師になったら そういうことができるんだ。それに、そういうことができれば、人が病気になるもっと前から、役に立てるかもしれない―」 


---

(本書40~41ページより引用)





すてきな表現ですよね。


それに看護の本質を、とてもうまくいいあてている気がします。

お父様の言葉も胸を打ちます。



本書の第4章「コミュニティナースに取り組む先進県」

のなかにも、


「病気があっても夢を叶えるお手伝いをする」、

看護師の「土田ひとみさん」の紹介が出てきます。

(本書143ページ~)



ひとみさんは、

闘病中の父親に自らの「花嫁姿」を見せるために、

病院ウェディングを行った体験から、



「患者さんの『死ぬ前にこれを叶えたい』という気持ちを後押しする存在になろう」



と決めたといいます。

(本書144ページ)




こうした誰かの善意と熱意、

そしてそれに協力してくださる職員たちのご厚意が重なり合って、

果たされた素晴らしいエピソード、実践事例は、

私もたくさん見聞きしてきました。




そして同時に複雑な思いがするのは、

これらはすばらしい発想と活動にもかかわらず、

病院(その他施設も含めて)という枠組みの中では、

あくまで「業務以外」というくくりになってしまうことも、

また否めないという事実です。




ご本人にとってはもちろん、

ほんとうは誰にとってもいいことのはずなのに、

一方で、実現するための「しくみ」がなかなかできていかない、

もどかしさがあります。



コミュニティナースという第三のポジションをとることで、

ひとみさんはそこを上手に昇華なさっていくわけですが、

詳しくは本書をお読みになっていただくことをおすすめします。




さて、人生の最終段階において願いをかなえる、

というとすぐに思い当たるのは、

闘病中の子供の夢をかなえる、という

メイク・ア・ウィッシュの活動ではないでしょうか。

https://www.mawj.org/about/make-a-wish-story/ 




また、

ボランティアと救急車のちからをあわせて、

人生の終末期を迎えた人々の最期の願いをかなえる、

オランダの団体「Ambulance Wens」の活動も広がりを見せています。

http://www.ambulancewens.nl/




人の夢や願いをかなえるため、

なにかできることがあるとなれば、

私たちはダイレクトにやりがいを感じられます。




私の提唱する「看取りのドゥーラ」も、

この役割を担える可能性を秘めています。




もちろん、

すぐに大掛かりなことはできないかもしれません。

でも、必ずしも人生の最終段階にある方が望まれるのは、

達成が難しいことばかりではありません。




というより、



「~と伝えたかった」


「~に会いたかった」


「もう一度釣りがしたかった」


「海が見たかった」



・・・というような、

日常的なことも多いのです。



なにごとも、まずは身近なところから。



そのようなわけで、

看取りのドゥーラ ワークショップでは、

まずは看取りについて語り合うことからはじめていきます。




まずはご自身や身近な方の声をひろって、

最終段階の時間をどのようにプロデュースできるのか、

一緒に探っていく活動です。




最期の時をあなたは、

どこで、誰と、どのようにして過ごしたいですか?

看取られたいですか?




あなたが最近経験した看取りは? 

それをどのように感じましたか?




今の私たちの中で経験されていること、

感じていることを言葉にしてみること、

対話して、気づきあうことから

始めてみましょう。




誰でも人は亡くなるのですから、

それを支えるために心を砕いている人なら、

すでにだれもが看取りのドゥーラなのです。




看取りへの迷いをなくし、

関われる自信へと変えていくために、

誰もが誰かの、看取りのドゥーラになれる。




いよいよ

2020年1月24日(金)から、

最初の「看取りのドゥーラ・ワークショップ」がスタートします。




ワクワクしながら、

皆様の参加をお待ちしています。




(ワークショップは完全予約制ですので、

日程やご参加希望などはホームページをご覧ください。)



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