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執筆者の写真近藤和子

看取りのドゥーラ実践報告 【最新の事例】






私の最新の実践事例をお伝えします。




看取りのドゥーラ、

近藤和子です。




いつも、

「看取りのドゥーラは資格や職業ではなく在り方です」

とお伝えしていますが、

もうすこし実際のところ、リアリティのある部分もお話します。




つまり直近の、

「看取りのドゥーラ」(有償)活動事例です。




この2月上旬に、

あるNPO法人の代表の方からのご依頼を受けるかたちで、

看取りのドゥーラを担当させていただきました。




お声がけくださったのは、

三国浩晃さんといい、

NPO法人 人生まるごと支援

という団体の理事長をしておられます。




参考:NPO法人 人生まるごと支援 ホームページ




三国さんが任意後見人として看ておられたのは、

昨年末に脳梗塞の後遺症で入院された、

Sさんご夫妻(奥様92歳・ご主人96歳)です。




Sさんは入院中に、

(カテーテルや点滴を抜去してしまうなどの理由で)

手にミトンをされ、

手足を拘束されておられたそうです。




そんな様子をみかねた奥様は、


「自宅につれて帰りたい」


とおっしゃり、

また、ご本人の希望もあって、

ご自宅にもどられる選択をなさいました。




もちろん在宅医療になりますので、

そのための準備が必要です。

三国さんの熱意と手配によって、

24時間看護ケアシステムが構築されました。




そのチームに加わり、

私は日中の8時間をSさんのご自宅に出張するかたちで、

看取りのドゥーラとして参加いたしました。




入院先から自宅に帰るという選択は、

おなじく90代の奥様にとって、

どれほど勇気のいる決断だったことでしょう。




実際奥様も、




「とても怖かった、今でも怖い。」


「でも、家に帰りたいという主人の

希望を叶えてやりたかった。」



とおっしゃいました。




ご自宅へうかがった初日、

私は奥様に、




「大丈夫、きっと良い決断、選択だったという結果にしましょうね。

その日まで、ご一緒に、乗り越えましょう」




と、目を見てハグしながらお約束しました。




こうして、

看取りのドゥーラの開始となります。




本人が嫌がられること、

拒否されることは一切しませんが、

片時も離れず、手をとり、タッチングケアしながら




「大丈夫ですよ。

ここに居ますよ。

大丈夫ですよ。」




と、静かに、

ゆっくり話しかけ続けます。




その間も、

地域包括ケア職の多職種連携介護サービスは

継続して提供されます。




なかでも特に今回協働できたふたりの看護師の、

ハイレベルな看護力には感動しました。




訪問看護師の「Uさん」は、

退院時の事情と在宅経過の観察申し送りを、端的に素早くしてくれて

私に短時間で的確な把握を可能にし、

バイタルの観察などから「あと数日でしょう」と看取りの予測をたてられ、

ご家族にもソフトな解説をします。




そうした所作や接遇が看護の実践としても的確で、

また心の準備(グリーフケア)の促し方としても素敵でした。




看取り当日となった日のモーニングケアもまた素晴らしく、

タイミングを逃さない確実な口腔ケアのおかげで、

数日ぶりの綺麗な口元で見送ることができました。




そして、呼吸停止の兆候。

私が訪問看護師Uさんに連絡すると、10分もたたないうちに駆けつけ、

死後硬直前の迅速な対処も、お見事でした。




もうおひとりの訪問看護師「Kさん」は、

この数年間・継続して担当してこられたナースでなければできない、

ご家族に関するナラティブなケアがさすがでした。




看取り当日となった日が、

定期訪問日でした。




看取りのドゥーラとして待機している私を認めて

いつもの全身状態の観察、バイタル計測をしながら

お別れが数時間後と予測したKさんは


これまでのご主人様のお人柄、奥様との関係やエピソード、

家での暮らし方、ご趣味、腕時計へのこだわり、などなど。


問わず語りに懐かしそうに、話しかけながら、

慈しみ深い所作と、優しく、ゆっくりした語調で全身をくまなく触診。



腹部、胸部を聴診器で聴き、

足先、手先、顔いろ、目、肌の観察を言葉化して

私に同意を求め、

私は目で、あと数時間後であることを納得し、あいづちを打ちました。




奥様との会話も自然で、

納棺の時に着せる洋服のご希望を引き出し、

奥様では手の届かない収納先から取りだし、

寒がりでいらしたからと、ご希望のジャケットにあう、

シャツやズボンのコーディネイトを別室で着々と整えながら、

いつでも、間に合うようにねと。




おかげで私もご本人のことを、


「せん妄状態がようやく落ち着いた患者さん」


としてではなく、



「この家で活きいきと生活してこられた、

ひとりの紳士の人生丸ごとの姿」



をイメージできたうえで、

看取りにたずさわることができました。




私がチームに参加してから、わずか数日のうちに、

いよいよ最終段階にはいっていきました。


看取りのドゥーラはケアチームの一員として協働しながら、

担当者間の時間の隙間をカバーし、

ケアする人をケアするサポーター役も果たします。




バイタルの変化、

腸の動きが消失、

足先、手先のチアノーゼの始まり。




刻一刻と変化していく様子を病院では器械が(そこに居なかった人でも誰でもわかるように)観察記録しますが在宅では器械は何もありません。



ひたすら、

優しいドゥーラの見守りがあります。



鼻腔、経管、点滴の管も一切なし、

酸素もネブライザー(吸引器)もなく、

かわりに片時も離れず変化を見守る人(ドゥーラ) がいます。



「あと数時間ですね」との看護師の言葉どおり、

深呼吸と無呼吸の時間が長くなります(チェーンストーク呼吸)。




次の呼吸がくるか、

来ないかと言う時点で、

私はリビングの奥様をお呼びして、

ご一緒に次の呼吸が来ないことを確認。




お声掛けをし、

奥様の肩を抱きながら、

ご希望の讃美歌を共に歌い

数分間、3人で時を過ごしました。




呼吸停止した時刻を電話でクリニック(訪問医師)に連絡し、

医師の到着を待ちます。



医師による死亡診断書が書かれサインされると

それまでの患者さんはご遺体として、

専門担当の看護師又は納棺夫の方々の手に委ねられます。



私はその時点で、

ご家族にご挨拶して、速やかに退室。

依頼者である三国さんに、詳細をご報告して完了しました。



以後は、

ご家族のグリーフケアに重心がおかれることになりますが、

それはまた別の機会にお話ししたいと思います。




今日は実践の場の雰囲気をお伝えしてみましたが、

看取りのドゥーラの存在意義を、

少しでも感じていただければ嬉しいです。




人はいつか必ず亡くなるものだし、

ケアする人をケアする役割が、

まちがいなく必要とされているのです。




ご一緒にお考えいただき、

ぜひあなたのお知恵も貸していただけたら嬉しいです。




というわけで

次回以降の、

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2020年 2月14日(金)、22日(土)、28日(金)、

3月6日(金)、13日(金)、20日(金)、27日(金)

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に開催します。



どこかで、

夕方18時に新宿御苑前に来られる日程はありませんか?






お待ちしています!



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