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執筆者の写真近藤和子

終戦の日によせて



今日、8月15日は終戦の日。

昭和20(1945)年8月15日正午に玉音放送が行われました。




■母の戦争体験



終戦、平和到来の証として、

昭和22年に生まれた団塊世代の私。



明治生まれの私の母は

自分が83歳をすぎる高齢者になること(明治時代、1940年代の平均寿命は43歳前後とされています)も、

娘である私が成人を迎えるまで生きられたことも、

奇跡のように思えていたようです。



その母が、

私が20歳になった時の、

手向けの言葉があります。


「男の後をついて歩く女になるな。」


「これからはレディ・ファーストの時代になる。」



その心は、



「私たちは男の後ろについて行くものとして育てられたけど、

ついていった男の先には戦争しかなかった。

男の後について行ってはなりません。」

「女・こども・そして障がいのある人が先。男は一番最後に回りみんなを護るべき人です。」

「男の子が生まれたら、そのように育てなさい」

 と言いながら、私の仕事と育児の両立をサポートし、孫たちを躾てくれました。



その心は、




「私たちは男の後ろについて行くものとして育てられたけど、


ついていった男の先には戦争しかなかった。


男の後について行ってはなりません。」




■平均寿命が飛躍的に向上した理由



「戦争を知らない子供たち」として育った私たち団塊世代も、

これから次々と75歳の大台に突入していきます。

いよいよ立派な高齢者の仲間入りです。



「人生80年時代」と盛んに言われた90年代を経て、

今や「人生100年時代」のライフプランが求められています。



実際、どこの高齢者施設でも

90歳、100歳越えの入居者に出会うことはもう普通になってきました。



認知症になっても100歳超え、

脳梗塞などによる遷延性意識障害(いわゆる植物状態)になっても、

胃瘻や高濃度栄養補給などの医療処置で90歳以上でも生きられる、

という医療技術の時代になっています



平均寿命が飛躍的に延びたのは、

医学・医療の成果であるとともに、

主な要因として次の3点がよく挙げられています。



1 乳児死亡率の減少(産婦人科学の成果)  

2 結核治療の進歩(感染症医学の成果)  

3 生活環境の改善(公衆衛生学の成果)



これらも正しいと思いますが、

戦争で人が死ななくなったおかげだという事実を、

見逃してはならないと思います。



この70年平和な時代が続いたおかげで

老若男女が戦死しないですんだのです。



「男の後について行ったら、戦争しかなかった」



そのような時代がふたたび繰り返されることのないよう、

平和を祈念するこの日に、語り継ぎたいものです。




■戦争は女の顔をしていない



ちょうどいま、


「戦争は女の顔をしていない」


という本を読んでいます。



本書は、

2015年にノーベル文学賞を受賞した

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチによるノンフィクションであり、

第二次世界大戦中、ソ連の女性兵士たちの体験が、

実に500人以上の従軍女性からの聞き取りによって書かれた戦争の真実です。



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『戦争は女の顔をしていない』岩波現代文庫

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ著 三浦みどり訳

NHK Eテレ『100分d e名著』にて2021年8月放映

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いまは第二次世界大戦のような意味での戦争はありませんが、

病気や差別や貧困など、さまざまなものとたたかい、

今現在も苦しんでいる方はたくさんいらっしゃると思います。



皆様、お一人お一人の大切な方々へ、

それぞれの思いとそれぞれの方法で、

祈りの日々をお過ごしのことと思います。

母が成人の日に手向けてくれた言葉を、

私は毎年の8月15日のお盆の日々に、

母への供養として心の中で問いかけながら、

祈ることが、いつしか習慣になりました。


それぞれの想いと祈りに、祝福がありますように。



近藤和子

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