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執筆者の写真近藤和子

親をどこで看取りたいですか?


親をどこで看取りたいですか?


近藤和子です。


親が年齢を重ねると、終の棲家をどうするかということを、家族が考えることが多くなるようです。もちろんこれは親自身が決めなければならないことですが、高齢になればなるほど、日常生活のさまざまな場面で周囲の協力が必要になってきます。


「終の棲家」として最も選ばれているのは「自宅」です。2020年に日本財団が行った調査によると、「人生の最期をどこで過ごしたいか」という質問に対して、「自宅」を、最期を過ごす場所として選んだ人の割合は58.8%と、6割近くを占めています。


逆に、「絶対に避けたい」場所として、「子供の家」が42.1%、「老人ホーム」が34.4%という結果になりました。子どもには迷惑をかけたくない、老人ホームにも入りたくないというのが本音のようです。


つまり、最期は「自宅」で大切な人に囲まれて過ごしたいという人が大多数であることがわかります。自立と尊厳を保ちつつ、必要なケアやサポートを受けたいと願う人が多いということではないでしょうか。




親を自宅で看取れるのか

では子どもは、親を「自宅」で看取ってあげることができるでしょうか? 自宅というのは親(本人)の自宅という意味かもしれませんし、子どもと同居している家という意味かもしれません。いずれにしても、子は「できるだけ親の希望をかなえたい」と考えるかもしれませんが、一方で「自分たちの生活も守らなければいけない」ですから、うまくその落としどころを見つけなければいけません。


これがなかなか難しいです。「住まい」はどの世代にとっても暮らしの中心的なテーマであり、人生観や好みの思い入れもあって、意見もぶつかりやすいところです。そこに踏み込むとなれば、とにかく話し合うだけで時間も労力もかかります。だから、親が元気なうちに少しでも準備をしておくのが理想です。




終の棲家を選ぶポイントは?

終の棲家選びに必要なことを整理すると、「本人の気持ち」×「家族の気持ち」×「お金」。これが終の棲家を選ぶポイントだと思います。「親が最期を迎えられる場所」について、そもそも「自宅」はあり得るのかどうかというところから、よくイメージしておく必要があります。


自宅以外だとすると、具体的に今住んでいる地域でどのような選択肢があるのか? これについてもぜひ施設などの情報を調べ、できるだけ足を運んで確かめてみてください。ただ昨今では、介護施設等の選択肢が広がった分、種類が多くてかえって迷うかもしれません。そこで、小さな灯台プロジェクトにも、各施設の種類と特徴を整理した情報を「小さな灯台・情報BOX」として紹介しています。是非、おりおりに「小さな灯台プロジェクト」のホームページをご覧になってください。



知っているかどうかで、最期の過ごし方は変わる

みんなのMITORI研究会は、終末期医療を提供する施設に関する情報を集め、終末期を迎える人のニーズを把握することで、日本における「やさしい終末期医療」の普及を目指します。そして、その情報をもとに、終の棲家や介護を選択するための指針としていきます。


また、各地域でどのような選択肢があるのかを理解するための、ガイドの作成も目指しています。このガイドは、終末期医療の「ハザードマップ」のようなもので、さまざまな施設やサービスに関する情報を提供するものです。


知は力なり。日本の終末期医療をより優しく、思いやりのあるものにすることが、この会の最終的な目標です。情報を集め、共有することで、日本の終末期医療のあり方を変えていきたいと考えています。


公益財団法人 日本尊厳死協会理事

みんなのMITORI研究会代表 近藤和子


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