病院や介護施設に行く際「付き添い」が必要な方は少なくありません。
病院や施設というのは、
単に身体だけ運び込めばよいというものではなく、
本人の人生と受け入れる病院や施設とが、
フィジカル面だけでなく精神的にも交差し、寄り添うプロセスなのです。
そのためにどうしても、前後に、
質的にも量的にも十分なコミュニケーションが必要になります。
従来は「家族が付き添う」ことで、
そのコミュニケーションを満たしていたと思います。
しかし現代社会において、家族がいないか、
あるいは遠方にいたり忙しかったりする場合はどうなるでしょうか?
高齢の患者さんは、
自分の要望を伝えられないまま医療を受けることになるかもしれません。
医師や看護師、医療スタッフが何を言っているのか理解することが困難なこともあるでしょう。
その結果、処方された薬が家の中に大量に残っているといった、
さまざまなミスマッチが起こりやすくなります。
高齢の患者さんが医療制度を利用しやすいように、
コミュニケーションの取り方について、
医療スタッフの教育を充実させることも解決策のひとつかもしれません。
では、
この問題に、家族はどのように向き合うべきでしょうか?
親が高齢になると、
何としても「自分たちで」看病や介護をしよう、と頑張る方が多いように思います。
40代、50代の長男、長女が介護から逃げずに、
真剣に取り組むことは素晴らしいことです。
しかし、自分たちだけで抱え込めるほど、現実の介護は甘くはありません。
はやめに専門家の活用を視野に入れることも大切です。
意外なことに、
成功しているビジネスパーソンでも、
自らの家族の介護に関しては、隠したり、人に言えなかったりするものです。
これからは、家族「だけ」が背負い込むことなく、
早い段階で受診や通院をサポートしてくれる専門家がいることを思い出してほしいですね。そうすれば、家族のプレッシャーは大きく軽減されるはずです。
家族以外の協力を得られる可能性としては、
介護保険制度はもちろんですが、他にも民間サービス、
看護師による保険外サービス、民生委員などがあります。
また、広義の協力者という意味では、
ヤクルト、牛乳配達、新聞配達所、郵便局員による訪問サービス、
NPO法人による単身者ケアなど、
地域で立ち上げられつつあるサービスにもいろいろな可能性があります。
私は、
社会全体がこの問題を認識するとともに、
個人がより多くの選択肢のなかから専門家を頼り、自分の面倒をみてもらうことが大切だと思います。
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