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“愛する君に伝えたい”

近藤和子

医療の世界、病院の中に、チャルド・ライフ・スペシャリスト(C/L/S child life specialist という職業があることをご存知ですか?

臨床心理士+保育士さんを合わせもったような立場で、病気の子供たちの発育発達を生活、教育、情緒的な方面から、様々な支え方をしてくれます。

聖路加国際病院には、米国で資格取得された日本では数少ない、チャイルド・ライフ・スペシャリストの三浦絵莉子さんがいらっしゃいます。

このブログでは、高齢者の看取りをテーマにしていますが、家族の中で、お年寄りが亡くなるということは、その対処方法によって、子供たちへの影響のほうが大きいからです。

高齢者の夫たちの同伴者の哀しみのケアも大切ですが、同伴者もすでに高齢になり、認知症が重なっていると、連れ合いの死も認知できないままという場合も少なくありません。

なので、家族の小学生以下のこどもたちの場合、その時々の家族や親戚縁者の言動が、世代を超えて、いろいろに影響していくことを医療や教育の場で“命”に関係している職業の人々は、良く知っています。

乳幼児を葬式に出させるのはいいのか? 見せないほうがいいか。

祖父母は死んだとリアルに言っていいのか? それとも、お星様になったよ、遠くに行ったみたい、と曖昧に表現したほうがいいのか?等など。迷われたことはありませんか?

そんな迷いに、ちょうど良い回答を得た思いがした勉強会がありました。

“子供に死をどう伝えるか” というテーマです。(2015年3月22日(日)午後12時半~) 

以下はそのダイジェストです。

簡単ですが、ご紹介してみます。

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“愛する君に伝えたい”

幼い子どもに残すメッセージを支える。

聖路加国際病院 コ・メディカル部 こども医療支援室

CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)三浦絵莉子先生

2008年~最初は乳がんの患者さんのご家族、特に小さなお子さんに、お母さんがガンになって手術する、治療による容貌の変化等をどう、伝え、ケアしていくか、余命数ヶ月と診断されたお母さんのことを、こどもにどう受け止めてもらうか等のケアをすることから始まりました。

今は、入院中のこども自身の看取りにも、そして救急室での突然の事故で様態の変化に戸惑うこどもたちのケアにも関わることもあります。

大切な人を亡くしてしまう子どもたちに必要なサポートは

1 嘘のない、わかりやすい情報を伝えること。

2 死んでしまった人から遠ざけたり、阻害してしまわないこと。

3 自分でも何かできた、役にたてたという自己効力感をもたせる

4 ここに居ていいという安全・安心感をあたえる

5 哀しい自分の気持を表出していいと許し認める。哀しいだけではない、いろんな気持ちがあっていいんだよ、ということが大切です。

6 大切な人のことを考える時間の大切さを知る。

病気や死の説明を子供の発達段階に応じた言葉で説明するのだけれども、死という言葉をしっかり使って欲しい。曖昧にしたり、ただ眠っているだけとか、どこか遠くに行ったとか、天国へ行った等、紛らわしい表現だと、子供たちはどうして帰ってこないのだろうと間違った認識を与えてしまう。

会いたくても会えない、触りたくてもさわれなくなったのは事実。でも、それは決して、あなたのせいじゃないということも伝えてほしい。多くのこどもたちは自分のせいで、ママがパパが、死んでしまったのか? 僕が悪い子だったからか? と思ってしまう傾向があるので、そのことははっきりと、あなたのせいではないと話してあげてください。

今、闘病中のご家族にも、余命数ヶ月と宣告され、家族とどう接していいか、わからないと言われる親御さんに、私たちは良く、一緒に居た、楽しかった思い出を残してあげてくださいとメモリーボックスにメッセージや、思い出の品を残したり、家族全員の手形を残すハンドプリント等、家族としてのつながりを確認できるものを一緒に制作したりします。

こどもは成長発達します。成長過程にある人間です。お母さんが亡くなったという事実は、自分が進学したとき、卒業したとき、初潮を迎えたとき、恋人ができた時等の、おりおりに、お母さんが居てくれたらと、その時々の思い出し方をします。ある日突然、大切な人がいなくなるという経験をくりかえし思い出し、哀しくなるのも、自然なこと。哀しんでいいのです。

だからこそ、普段の何気ないひとときに、おすすめの絵本などを一緒に読んであげてください。そして命の大切さと同時に死んでしまうものということを受け容れながら、家族のエピソードを重ねていくということが大事なことだと思います。

以上 /(文責・近藤)

ご紹介のあった絵本の写真を掲載しておきます。

・わすれられないおくりもの

(作・絵: スーザン・バーレイ訳: 小川 仁央出版社: 評論社 )

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・気持の本 (作・絵: 森田 ゆり出版社: 童話館出版)

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・おとうとのビー玉 (クリスティーヌ・ディールティエンス 作 ペーテル・アドリャーンセンス 作 サンネ・テ・ロー 絵 野坂悦子 訳)

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・親子をつなぐサポートブック(サポートブック作成プロジェクトチーム編 accototoふくだとしお+あきこ絵 PHP研究所)

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・かしの木の子もり歌 (著者 細谷亮太 文 いせひでこ 絵 ロバート・マンチ 原作  岩崎書店)

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