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自己開示のメリット

近藤和子

ランナー&シャドー

これまでもこれからも、私たちケア職が出会う壁のひとつに、患者さんご家族の”閉鎖性”があります。閉じてしまうのと同時に耐えてしまう。耐えることに努力することはあっても、気持ち良く助けてもらう努力や工夫は少なすぎる気がします。

近年、個人情報保護法で、なかなか、ケア職の介入もむつかしくなってきました。だからこそ、ご家族自身が 自己開示していただければ・・・と思える場合が多くなったように思います。

家族のことは家族が責任をもって、家族だけで始末するのが当たり前という風潮がなくならなければ、これからの医療・介護は果たせなくなるという危機感を多くの医療・介護者は感じています。私もそう思っているひとりです。

《みんなのMITORI・研究会》としては、家族が病気や介護に直面したら、まず、スピーク・アウト! 専門家の扉をノックしましょうとうったえたいと思います。

何かあった時、まず、黙ってしまう。誰にもわからないように家族の中で、何事もなかったかのように納めたいという心理の壁。この壁は意外に厚いのです。要は恥ずかしいのですよね。日本の恥の文化と相まって、ほんとうに根深い課題です。

そこで、ご家族、そして、ご自身の闘病生活を定期的にメール発信しておられる山本さんの5月の配信内容を、ご本人に許可を得て転載してみます。

病気のことを、恥じずに、積極的に支援を求めていく姿勢のモデル事例として参考にしていただけたら嬉しいです。

以下、転載です。

Morning Fog

いつも温かいお励ましをありがとうございます。

妻が重い病を発症した20数年前は、携帯電話もネットもなく、そもそも患者本人が自分の厳しい病状を、ちゃんと告げられているなんてありえない。

そんな時代でした。

当初こそショックでしたが、その中にあっても妻は、幼い子どもたちのためにもめそめそなんかしてらんない、と凛々しく向き合います。

そんな妻に接した夫がすることは。

まず、勤め先に休職届を出して、24時間家族を支える。

銀行と交渉して借り入れを図る。

現状報告私たちの思いの手紙を周囲に。

当時の風潮がそうであったように、死病だからと内も外も隠して、腫れ物に触れるような振る舞いはせずに、どんどんと人前に。

とりわけ、発信を通して「佳きサマヤリヤ人の優しいお節介」につながり、多くの善意が寄せられた。

それらが奇蹟的に連環して、平凡なサラリーマン家庭にもかかわらず、当代一流の先生や治療法から、一直線にQOLを獲得できました。

晴れの日も雨の日も、子どもたちとともに、笑顔で走りきった一年有半。

「残念ながら病気は治らなかったけれど、病人は治って行かれたんですね」との「成功体験」が、今でも夫を支えています。

子どもたちも、しっかり守られました。

あの幼かった長男に、秋には初めての男の子が授かります。

夫の今回の発病・リハビリライフでも、未知の分野への好奇心を持って、レポートするようにしています。

おシモ方面も含めて、なるべく深刻ならず、ユーモラスにね。

脳性マヒ・楽歩(らぶ)さんの体験(『三重苦楽―脳性まひで、母で妻』

http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4901203436/ref=mem_taf_books_a)にも感化

されて、外出するときは、オシャレしてカッコよく、ニコニコとご挨拶。

楽歩さんが書いてるように、そうすることで見知らぬ人からもフレンドリーに声かけられます。

やさしい環が広がっていきます。

こんな時代なんだから、ブログやらSNSやらで発信すればいいのに、とアドバイスいただくことがあります。

不特定多数よりも、おひとりおひとりへのお手紙感覚のメールで、ご容赦ください。「同文一斉メール」ではありますが、それぞれの方を思い浮かべ、宛先だけは毎回手入力して送信してます。

お心に届きますように、のお手紙感覚で。

--わたしは傷を持っている。

でもその傷のところから、

あなたのやさしさがしみてくる。

(星野富弘さん「れんぎょう」)

感謝を込めて

山本邦昭

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