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近藤和子

いまこそケア職の「連携」と「事例発表」を!


2016年8月26日金曜日、 静岡県藤枝市健康福祉の健康福祉部地域包括ケア推進課における研修会で 講演してきました。

ケアマネ研究会とサービス事業者との合同研修会でしたが、 これはみんなのMITORI研究会の活動がまさに目指している、

「ケアする人をケアする」

「連携」

「地域包括ケア」

「看取り」

というコンセプトがすべて含まれており、

なおかつ、 関係者の善意と協力がひとつになって、

「事例発表」

をしていただくという、 理想的な活動モデルになりました。

「市町村での在宅看取り支援のための研修」

がまさに動きだした、 出発点となったように思います。

この研修の実現のあらましとしては、

藤枝市の介護事業所の経営者のおひとり、 NASA介護スペース五十海(藤枝市五十海2-1-6)の 満島尚子氏が、

昨年からの私たち「みんなのMITORI研究会」の勉強会企画に 立ち上げ時から賛同してくださっていました。

「東京の本郷まで、毎回参加することは果たせないけど、 あなたの考えに賛同するので、 私は地元で、呼びかけてみるからね。」

と、奔走して下さり、 実現したのです。

さらに

研修企画提案に 藤枝市介護支援研究会(ケアマネの研究会) 代表 杉山 弘卓氏

しだ介護サービス事業者協議会(サービス事業者の会) 代表 西山 猛司氏

が賛同してくださいました。

そしてその呼びかけは

「藤枝市健康福祉部の地域包括ケア推進課」

を動かし、

ならば、 私たちも参加紹介させてほしいと 

「藤枝市訪問看護ステーションの6事業所の代表」

が全員ご参加!

藤枝市立総合病院の地域医療連携センター ・地域医療連携担当部長兼患者相談室長

のご参加にもつながりました。

当日は、 地域の関連事業所に所属するヘルパーさん、 ケアマネさん訪問看護師、介護施設長、 その他の事業所さんなどなど、 総勢200名(!)あまりが会場(藤枝市役所大会議室)に あつまってくださいました。

まさに、 多職種が一同に集合、 自己紹介しあう場が実現したのです。

みんなのMITORI研究会が 目指しているとうりの「連携の輪」となりました。

当日の朝まで、

「うまくいくかどうか心配で食事も喉を通らなかった」

と出迎えてくださった 満島さんの心配を 良い意味で裏切るような大成功!

「やはり、事例発表をして良かったね。

心配だったけど、自然になんだか、

うまくことが流れたね。」

と喜びあいました。

一人のケア職である満島さんの呼びかけにも、 こうして共感サポートの輪の波紋が広がっていく様子は、 まさにケア職同士っていいね! 

といった心境でした。

私に与えられた講演テーマは

「家で最期まで療養したい人を支援する人になるために」

です。

主な内容は、

「在宅看取りは、本人とご家族、 ケアスタッフ、三者三様の不安へのサポートが鍵」

「市民へのリビングウィルと家族が決定する医療と看取りの形」

「ケアする人もケアされる人の両方に必要なグリーフケアの啓発が大事」

「看取りの専門家は医師ではなく看護師である」

「もっと訪問看護師を頼り、活用してほしい」

などの趣旨をお話しました。

そしてその後 藤枝市で活躍されている 介護施設の代表3人による それぞれの「看取り体験」の事例発表。

その発表に 私がコメントさせていただき、 まとめて終了というプログラムです。

ところで皆さん、

私がケア職者自身による事例発表を、

と提案すると決まって

「できるかな?」

「みんな忙しいし、やってくれるかな?」

「10分や15分? できるかな?」

不安がられることも多いのですが、

やっていただいてみると、 必ず、期待以上にできることを、 何度も経験して確信しています。

本来、ケア職は発表の場を求めているのではないでしょうか。

ただ、熱心にお誘いし続ければいいのです。

それに、実際にやりとげたときは感動間違いなしですよ。

今回再確認したのですが、 地域包括ケアに連携していく多職種が 一同に集合しての「事例発表会」はとても大事です。

おそらく今後の地域包括ケア、介護、看取り、 すべての問題における重要なカギを握っていると思います。

ひとつのおおきなポイントは、 「事例発表会」であるということ。

決して事例検討会ではありません。 事例研究会でもありません。 あくまで発表会であることが大事だと思っています。

まずは これまで発表の機会のなかったような方にも、 体験をシェアしていただくことが重要です。

決してまちがえてならないのは、 「批評」・「批判」・「評価」をするためではなく、 連携し、認め合い、褒め合い、 体験の共有とケア職自身のグリーフワークを兼ねた、 事例発表会にすることなのです。

看取り体験を事例発表することが そのケア職にとってはグリーフワークになります。

看取りのあとに、 心残りや後悔を感じないケアラーはいません。

それでも体験を紹介するまとめの作業にチャレンジして、 発表し、認められるという一連の経験が、 職人的五感のもてなし(配慮)を高め、 これからも精進しようという気持ちにしてくれるのです。

それを聴く受講生にとっては、 看取りのノウハウを知る、 大事な学びの場になります。

さらに発表にあたっては、 ご家族の承諾が必要です。

事例発表の申し出に、

「みなさんのお役にたてるなら、 どうぞ発表事例に出してください」

というお返事をいただけないと発表できませんから。

ご遺族の快諾をいただけるのは、それだけいいケア関係を築いて きたという何よりの評価になります。

実際、

ご協力いただけたご家族の中には、

「地域のお役にたてたようで、嬉しいです。」

と言っていただける方もあります。

それはケア職の励み、良き目標になります。

そしてその場の参加者が、  その事例発表のどこが良かった、 素晴らしかった、 参考にしたいと思うと感想を述べあい、 認めあうことです。

こうして うまく発表者と、受講生、事例提供ご家族(当事者) との共感が上手にコーディネートされたときに、 その場に居合わせたものどうしが味わえる感動があります。

ケア職は連携しなければなりません。 ケア職は認め合わなければなりません。 ケア職は学び続けなければなりません。

そのために 事例発表会を通してケア職どうしが情報と心を通わせあうことは、 不可欠なノウハウの伝達であり、グリーフケアであり、 レジリエンスの強化となるのです。

それに、事例発表会がうまくいったときは、 経験したものにしかわからないですが、 とてもあたたかい雰囲気につつまれます。

看取りには決して同じ事例はなく、 まさに一期一会。

関係する人と人との相互関係によって、 その数だけのエピソードが生まれていい世界です。

あなたが、あなたであることが大事。 あなただったから素晴らしい結果を得られたね、

と認められることで、 明日からの怖くて不可解な看取りに向き合う勇気が湧いてくるものなのです。

こうした事例発表会を、 もっと全国で推し進められたら素晴らしいと思います。

静岡県藤枝市の地域包括ケア推進力が、 看取りに特化したケア職を大事に育てていける地域として、 他の県、市町村のモデルになっていただけたらと願います。

ここで発表された3事例を、 今、この”みんなのMITORI研究会のHPに 寄稿していただけないかと交渉中です。

この最初の一歩を記念して、 このHPに、各地のケア職の皆さんからの 看取り事例投稿を掲載できる「事例紹介コーナー」を創設したいと思います。

ご期待、ご協力をよろしくお願い致します。

2016年8月28日

みんなのMITORI研究会 代表  近藤和子

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