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近藤和子

感動の実践報告会 山口晃弘氏のご紹介


私はいま、

ケア職の皆様に、

「仕事での看取り体験事例」の発表をお勧めしています。

一番の理由は、

ご自身の”グリーフワーク”になるからです。

そして情報の発信は、

時を経てケア職の自信と誇りになって返ってきます。

そうした情報の循環を、

ケア職のために、社会のために、

呼び起こそうとしているのです。

看取りのような、

強いストレスにさらされると、

人は一瞬言葉を失います。

そこで立ち止まり、

絡まった糸をほぐすように、

丁寧に思いを言葉に紡いでいくことが、

ご本人のグリーフワークになります。

もちろん、

経験したことを言葉にするのには、

相当の努力が必要です。

ストレス体験と向き合うエネルギーと、

言葉にする手間と、

守秘義務とのバランスにも頭を使います。

もしかすると、

文化的な背景も

発表にブレーキをかけているかもしれません。

どんなに良いことをしても

「名乗るほどのものではありませんよ」

といった謙虚な決め台詞で終えて去っていく。

私たちの心のどこかにそんなイメージが残っていて、

あえて言葉にするのは、

どこか気恥ずかしいのかもしれません。

たしかに私の経験則からも、

良いケアをする、大先輩の誠実なケア職ほど、

言葉を使いません。

「黙して語らず」の人ほど

安心なケア職という面はあると思います。

ただ一方で、

看護、介護、ケア職の世界は今、

もっと表現されることが大切な段階にきていると思います。

当事者が言葉で表現し、

伝えられてはじめて社会に見出される価値

というものがあるからです。

ケア職の仕事は、

お風呂にいれてあげること?

おむつをかえてあげること?

そのように認識している人が、

まだまだ世の中には大勢います。

一方で、ケアとは、そうした作業だけではない。

それらをとおして、考え、実践する仕事だと理解していて、

日々現場で実践している当事者たちがいます。

ほんとうは、ケア職の仕事とは、

利用者様がこれからの時間をどのように生きていきたいのか、

どのように最期を迎えたいか、

そしてそのご家族はどう思っていらっしゃるのか、

それを考え続け、聴き続け、理解してさしあげること。

そしてどうすればそれが実現できるのか、

思いを巡らせ、日々のケアをとおして実現していく仕事なのです。

もし、誰も、この事実を伝えなければ、

世の中の人は、知るチャンスを得られないわけです。

けれどもし、

伝え続ける人がいれば、

必ず聞く人は増えていくはずです。

それがケア職の誇りと自信につながるのではないでしょうか。

今回ご紹介させていただく、

山口晃弘氏(介護福祉士、介護支援専門員)も、

そんな志をもって社会に発信を続けておられるお一人です。

私が初めて山口氏に出会ったのは平成25年の3月、

社会福祉法人“老後を幸せにする会”の

「実践報告会」に出席させていただいたときでした。

当時の橋本睦子施設長を実行委員長に

山口晃弘氏の見事な指導とプロデュースのもと展開されている、

実践報告会の発表内容には本当に感動させられました。

ここに、実践家がおられる!

日常のケアを言語化して表現する力を職員に育て、

発表の場をつくり、地域への開放と責任を果たしておられる指導者がいる、

と。

以来私は自称、

山口晃弘氏の応援団長です。

山口氏の著書や連載のブログをご覧ください。

できたらセミナーへの参加をお勧めします。

来年3月10日(金)午後19時

千歳烏山・烏山区民会館で予定されているという

社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑での実践報告会にもでかけます。

今から楽しみです。

以下、山口氏からご寄稿いただいた文章です。

氏のプロフィールとともに掲載します。

読むたびに、まるで未来から風が吹いてくるようです。

(以下、引用です。)

 

私たちが「実践報告会」なるものを手掛けたのは、11年ほど前になります。

最初に提案した時の現場の反応は否定的でした。

 「こんなに忙しいのに、これ以上何をさせようっていうんだ!」

気持ちは分かりました。介護現場の人手不足は慢性的です。確かに「これ以上・・・」という気持ちになるでしょう。しかし私は、「今は見えない景色を必ず見せるから」と言って説得したのを思い出します。

 私の中に、実践報告会を手段として用いる理由とストーリーがありました。

私たちの介護事業所は一部地域の方達が納める介護保険料で運営されており、地域の方達には自分達の納める介護保険料を使ってどのように事業所が運営されているか、知る権利があります。これはいわば株主と同じ。実践報告会は、株主総会としての位置づけにしたいとずっと考えておりました。

 そしてストーリー。

 実践報告会は、あえて大きな会場で開催しました。400名収容できるホール。そこで発表する実践報告は、やったことを並べ立てるような自己満足であってはならない。それでは次回からお客様は来てくれません。実践報告会には、「来てくださるお客様を感動させる」というミッションがありました。

 しかし、「実践報告会」です。実践していないことは報告できません。つまり、職員達は一年かけてお客様が感動するような実践をしなければ報告会は成り立たない。職員達は400名のお客様が感動するような実践を積み上げることになりました。

 これを一時期、「報告会ありきで、実践しているのですか?」と揶揄されたことがありました。私の答えは、「何か問題でもありますか?」。

 前述したように、実践報告会は目的ではありません。手段です。

400名のお客様が感動するような実践を誰にしたのか?それは利用者様です。

 今の時代の高齢者は、戦争、戦後の大変な時代を乗り越えてきた方達です。苦労は嫌というほどしています。その方達が晩年幸せに暮らしてほしいと願うことは、何も難しいことではありません。

 しかし、ベッドの上で一日の大半を天井を見て過ごしたり、昨日が今日でも今日が明日でも変わらない毎日を過ごしたり・・・そんな毎日が幸せといえるでしょうか。

 私は、実践報告会を通して400名が感動するような実践を利用者様に行ない、何よりその利用者様に感動していただきたかったのです。

その実践を聴いたご家族は、「お婆ちゃんは本当に幸せです」と言ってくれました。

人生は一人一人が主役のストーリー。

ストーリーの終盤を彩ることのできる素晴らしい職業が介護職です。

 実践報告会は、職員達に自信と誇りを持たせてくれました。その後は、年度末に報告会が控えていることが、職員のモチベーションになりました。

プロフィール

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。

高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、

特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、

その後グループホームの管理者となる。 現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑にて人材育成担当。

著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』

連載ブログ

中央法規出版株式会社の運営するHP『けあサポ』にて

『山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術』

セミナー

関西看護出版

『超高齢化日本の未来を明るく照らす、これぞ介護職のチカラ!!』

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