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近藤和子

ケア職による事例発表のすばらしさ


先日の藤枝市での研修会で、

事例を発表してくださった、 居宅介護支援事業所 ゆめ広場 ケアマネージャー 大内弥生さんが、 その発表体験後のご感想を寄せてくださいました。

とても素敵で、

素晴らしい内容のご感想だと思いましたので、 どうしても皆様にシェアしたいと思いました。

そこで以下に、許可を得て転載します。

(ここから)

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在宅看取りの事例発表をして

私が介護保険の世界に入って16年。 ケアマネになり早10年になろうとしています。

その間いろいろな方の最期を一緒に過ごさせていただきました。

ケアマネになって初めて担当したのが、 肝臓がん末期の独居の女性。

70歳代で意志の強い方でした。

その方の最期の生きざま・死にざまを見させていただいたのが、 私の看取りケアの原点のような気がします。

今回、発表しました「I様」は、 私がデイの相談員だったころからの付き合いで 約13年の歴史があった方です。

自転車で受診に来られ、 立ち話をするような元気な方が 圧迫骨折から車いすの生活になりました。

短い距離なら手引き歩行をしていた時期もありましたが、 13年の時間と共にADLが低下していきました。

その変化に合わせながら、 そしてI様らしくいられるように試行錯誤しながら・・・

そんな13年でした。

その集大成が看取りケアでした。

I様の看取りケアの素晴らしさはご家族にありました。

以前から折を見て

「最期の時をどのように過ごしたいか」

という話をしていたのですが、

「おばあちゃんらしく最期までいさせてあげたい。 病院で検査や延命処置を受けるのではなく、 いつもの生活の中で過ごさせてあげたい」

という長男さん、 お嫁さんの意思が 最後まで貫かれていました。

私はその気持ちに寄り添うだけでした。

関わってくれる介護や医療のスタッフにその意思を伝え、 共通の思いで最期の時期を過ごすことができました。

経口摂取はダメというドクターストップの中、 本人が食べたいといった「バニラアイスクリーム」。

そのあとむせて 苦しい吸引が待っているとはわかっていても、 本人の希望を叶えてあげたいというご家族の気持ち。

その時、 I様が食べたバニラアイスクリームはどんなにおいしかったか。

「おいしい」と言って涙を流したI様。

これでむせても、 肺炎になってもだれも咎めることはないと思います。

後日、息子さんから

「あのアイスクリームをあげることを 大内さんも訪問看護師さんもダメと言わなかった。 本当にありがたかった。

おばあさんが喜ぶことをしてあげれた。 ありがとう。」

事例発表後、 近藤先生は講評で「看取りは文化です」とおっしゃいました。

「医療ではないんです」と。

その言葉が私の心に響きました。

医学的にいい、悪いじゃないんだ。 最期に大好きな家族が喜ぶことをしてあげたい、 笑った顔を見たい、願いをかなえてあげたい、 そんな人としての崇高な文化なのだと私は理解しました。

そして、今後もその理念で関わっていきたいと思いました。

事例発表をして、 私が常に考えていること、 感じていることを

多くの人に聞いていただくことの大切さを知りました。

自分が自分にできるグリーフケアにもなりました。

発表後、多くの方に

「とってもいい発表だった」

と声をかけていただきました。

社交辞令かもしれません。

でも、

自分がしてきたことを認めてもらえることが これほどこころの栄養になるとは。

次の仕事への活力になるとは。

お聞き苦しい発表だったと思いますが、 その機会をいただいて本当に良かったと思います。

先日、

発表を聞いていた訪問看護師さんに声をかけられました。

「私も4年間、関わってきた患者さんの 看取りをしたばかりだったので、 感情移入して聞いた。

自分がやってきたことがこれでよかったんだなって。

つい自分の中だけで昇華しようとしてしまうけど ああやって表現することって必要ね。」

と。

近藤先生のおっしゃる事例発表の必要性が ここにあるのだと実感した瞬間でした。

これからもこの仕事を通して、 多くの方々との縁をつなぐことができます。

そして、多くの学びがあると思います。

その学びを多くの人と共有するために、 また自分のこころに栄養を与えるために、

また機会がありましたら

事例発表をしてみたいと思います。            

居宅介護支援事業所 ゆめ広場

ケアマネージャー 大内 弥生

メールアドレス yume@nishikino.net

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(引用ここまで。)

いかがでしょう。

まさに!

事例発表のたいせつさとすばらしさを いいあててくださっていますよね。

もっともっと事例発表を、 事例のシェアを、 すすめていかなければならない

という使命感にも似た思いを強くしました。

ケア職の方々の経験が、 十分に表現されずに眠っているのは、 非常にもったいないことです。

「事例」は、

かけがえのない財産です。

「発表」は、価値提供であるとともに、

自分自身へのグリーフケアにもなります。

さらに「認め合うこと」は、

こうした相乗効果をさらに何倍にも高めてくれます。

大内さん、 勇気をだして、表現してくださって、ありがとう!

心からの感謝をこめて。

追伸

夢広場の母体である、錦野クリニックについて。

毎週金曜日にBS-TBSにて放送中の「赤ひげのいるまち」

より、参考映像です。

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